Venture Advising

スタートアップへのコンサルティングプロジェクト。毎年春秋に開講され、基本的に春学期に受講される方はイスラエル、秋学期に受講される方はブタペストに赴きます。年によっては地元セントルイスのスタートアップ企業の支援のプロジェクトもあります。近年大変人気のプロジェクト型授業。


(イスラエルの例) 
近年、イスラエルは第二のシリコンバレーと言われる程、スタートアップ企業が多く、結果として、VCファームも積極的に投資している地域です。本プログラムでは、イスラエルのVCファームによる講演とスタートアップ企業の課題に対し、コンサルティングを行うことがメインとなります(イスラエル観光を満喫することも大事です)。私が担当した企業は、翻訳ソフトウェアを開発しており、その商品に対するマーケティング戦略を、チームメイト(WashUのMaster of Social Work 1名とイスラエルの大学(IHC)2名)と提案しました。本プログラムの学びとしては、①イスラエルとのカルチャーギャップを経験する(イスラエル人はダイレクトに物を言うので、口論のような議論になります)、②実際の企業が抱える問題を聴取し、コンサルティングを行うため、コアの授業で学んだ知識を実務で活かせるか試す(マーケティングの基礎、4P等を真剣に考えます)、③かけがえのない友人(熱い議論を通じて新密度は増します)、④VCファームの実務を垣間見る、等が挙げられると思います。 なお、イスラエルでも寿司は人気です。ぜひ、ご賞味ください。

 

(セントルイスの例)

セントルイスは地代が安く、また優良な学生を確保しやすいためベンチャービジネスが非常に盛んです。そのセントルイス地元のスタートアップ企業に対しコンサルティングサービスを提供しようというプロジェクトです 。(The Hatchery とは異なり、既に立ち上げが終了した会社を対象としています)。担当の教授が現役のベンチャーファンドのパートナーであるため、その投資先へのコンサルティングとなります。期間としては1セメスターの4ヶ月程度になります。

 私のクライアントは創業3年目のインターネットマーケティングのソフトウェア販売会社でした。チームは私を含め4人で、私以外は全て卒業後に起業することを希望しておりました。バックグラウンドは非常にバランスがとれており、私はAccounting、そして他のメンバーはMarketingStrategy Economicsでした。

 実際のプロジェクトですが、まずは、クライアントに要望を聞くところからスタートします。実際のベンチャー起業へのコンサルティングについては、そもそも何をコンサルティングほしいのか企業側がよく分かっていない場合があると思うのですが、このプロジェクトの場合は教授がファンドのパートナーなので、非常に明確でした。我々に与えられたテーマは「クライアントがターゲットとすべきマーケットの選定」。

 我々の場合、上述のようにテーマがMarketingでしたが、プロジェクトごとにテーマは異なってきます(Accounting Operationメインのものもあります)。ただ、この授業の場合は創業数年のスタートアップを対象としていることから、Marketingがテーマになることが多いように思います。

 実際にプロジェクトが始まって驚いたのですが、クライアントが非常に優秀で、むしろ何を手伝う事ができるのだろうという状態でした。その上、マネジメントの方々が非常に学生に対して好意的で、こちらがコンサルティングをするというよりも、むしろ我々に対してスタートアップビジネスを教えてあげようというスタンスでした。この点、非常に良い勉強をさせていただいたと思っています。

 プロジェクトの序盤では、まず本題のmarketing に取りかかる前に、我々にクライアントのLean canvasを作ってほしいという依頼がきました。Lean canvasは日本でも最近利用されているようですが、スタートアップのビジネスを一枚の紙にモデル化するというものです。これによって、会社のcompetitive advantagetarget等いろいろなものが見えてくる事になります。

 自分の場合はアメリカのスタートアップについて何ら知識も無いため、この時点で非常に苦労いたしました。そもそもLean Canvasとは何?からスタートするという有様でした。ただ、上述のようにクライアントが非常に好意的であったため、作業を進めながらいろいろと教わって行くという事になりました。

 そして、本題である「クライアントがターゲットとすべきマーケットの選定」にとりかかっていくことになるわけですが、上述の通り、クライアントが非常に優秀で、私にとってもチームにとっても これ以上、どうすればよいのだろうという感じでした。

 この点、ネイティブの学生が大いに頑張ってくれる事となりました。まずは、クライアントのビジネスをより深く理解することから始まり、丁寧にターゲットのアイディア出しを行いました。正直、このレベルではバックグラウンドの無い僕がチームに貢献できることは少ないのですが、 就業経験が乏しい他のメンバーに対して 、自分の社会人としての経験からのアドバイスやDocumentのまとめ方等をアドバイスしていきました。出来上がった成果物は、学生が中心にまとめたものとは信じられないようなものでした。

 最終プレゼンでは、クライアント側が興奮し、我々に対して時間中ひたすら質問を浴びせ続けるという程のものでした。非常に満足していただけたようで、プレゼン後も授業を外れ、質問等をいただくことができました。

 この授業ですが、まさにMBAの醍醐味ともいえる実践的な 授業でした。教授自体がクライアントを良く知っているので、軌道がズレそうなときもうまく修正できるようアドバイスをくれ、ビジネスレベルで納得がいくようなものに仕上げる事ができました。まさに授業を通して、起業(起業家に対するアドバイスの仕方)を学ぶといえる素晴らしい授業でした。